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【用語解説】チェーンの潤滑/機構・環境別の潤滑

チェーンの潤滑

チェーン摩耗は主にピン/ブシュ間、ブシュ/ローラ間、外プレート/内プレート間及びスプロケット/ローラ間で発生します。特にピン/ブシュ間の摩耗はチェーンの伸びの原因となり、スプロケットとの噛合い不良、異常振動、騒音などのトラブルを発生させます。またドライブチェーン(伝動用チェーン)に対しコンベアチェーンと言われる搬送用チェーンにおいては、搬送物の重量によりローラの摩耗も生じ易くなります。
このようなチェーン潤滑のポイントは、チェーンの僅かな隙間を通じて潤滑剤を摩擦面に的確に浸透させることであり(主な供給箇所は下図を参照)、潤滑剤としては半固体状のグリースよりも細部への浸透性に優れるオイルが主に用いられます。

【チェーンの潤滑剤供給箇所 ①内プレートと外プレート間 ②ブシュと内プレート間】
 

油の飛散・垂れ落ちを嫌うチェーンの潤滑

機械式駐車装置、印刷機械、搬送機械、屋外設置等のチェーンは、潤滑剤の飛散・垂れ落ちがクレームや製造製品の品質に悪影響を及ぼすケースがあります。しかしチェーン潤滑は、僅かな隙間から潤滑剤を摩擦面に導入することが重要であり、付着性の高いグリース等は細部への導入性に課題があります。このような場合、付着性に優れるグリースを溶剤希釈し、塗布時の浸透性を改善した製品スミコーチェーンスペシャルオイルが有効です。

 

高温下のチェーンの潤滑

加熱炉・乾燥炉などの高温下のチェーン潤滑では次の課題があります。

  1. 油の粘度低下による流出、蒸発・酸化劣化による油膜破断(摩耗・焼付き)
  2. スラッジによる潤滑剤供給阻害→運転トルク増大・チェーン蛇行

一般に高温下の潤滑には、グリースよりも冷却性に優れるオイル潤滑が適しており、特に細部への浸透性が重要なチェーンにはオイル潤滑が有効です。また冷却性向上、スラッジ低減、オイル流出低減を目的とし、1回の給油量を減らし、給油回数を増やすことも効果があります。しかし200℃付近の高温下は、一般の鉱物油ベースのオイルでは蒸発・劣化・スラッジの発生が多くなります。従ってこのようなチェーン潤滑においては、低蒸発で酸化・劣化に強く、スラッジの発生も少ない合成油をベースとした当社オイル ハイテンプオイルES-Iが適しています。同製品はスラッジが発生しても固着しにくく再給油で溶解するため、レール面の汚染も軽減されオーバーホール期間の延長も期待できます。また高温下での油膜破断時の摩耗を防止する目的で当社製品ハイテンプオイルGの使用も有効です。特にオイル潤滑が不可能な300℃以上の高温では、耐熱性に富むグラファイトや二硫化モリブデン等の固体潤滑特性を活用することでチェーン摩耗防止効果が期待できます。