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【用語解説】潤滑とは?/潤滑全般

摺動する2固体の表面に、その2固体よりせん断力の低い潤滑油膜や固体潤滑被膜を形成させ、2固体を分離することにより、摩擦・摩耗を低減することです。

【潤滑剤の歴史は古代エジプトの時代から】

「摩擦・摩耗」は日常の現象であり、人類は、有史以前から摩擦を利用して火を起こすなど積極的に利用してきました。そのため潤滑の歴史も古く、BC1650年のテウチのエジプト墳墓には、石像を動かすのにオリーブ油が用いられたことを示す壁画もあり、BC1400年頃の二輪戦車の車軸に牛や羊の油が用いられたことが分析により判明しています。またBC400年代のヘロドトスの「歴史」には石油の精製法とその利用方法が記載されています。さらにはプリニウス(AD22~79)の「博物学」には植物油の一覧表があり潤滑剤の使い分けがなされたことも想像されます。

【潤滑の技術分野(トライボロジー)の確立は20世紀から】

一方、摩擦の理論解析の歴史はレオナルド・ダビンチ(1452~1519)にはじまりますが、アモントン・クーロンの法則でさえ1760年台であり、「真実接触面」という概念にいたっては1920年代のホルムの実験的証明まで待つこととなり、理論解明は遅れていたといわざるをえません。大きな変化は1966年イギリスのD.E.S:Department of Education and Science(英国文部科学省)の潤滑の研究・産業上の利用を調査するワーキンググループに端を発します。この調査委員長Peter Jostの名前をとってJost Reportと呼ばれているこのレポートの中で、適正な潤滑を行なえば51,500万ポンドの節減が可能であると報告し、摩擦摩耗潤滑の技術の重要性を知らしめるとともに、この分野をトライボロジーと命名しました。以後、摩擦摩耗潤滑の技術分野はトライボロジーとよばれ、日本でもトライボロジー学界が活発に活動しています。図は『ストライベック曲線』と呼ばれるもので、1900年初頭、Richard Stribeckが報告した潤滑理論で、トライボロジーにおける次の潤滑領域をあらわしています。

(1)境界潤滑領域

油膜が薄くなり、摺動面の凸部同士の接触が生じている潤滑状態。

(2)混合潤滑領域

油膜が薄くなり、摺動面の凸部同士の接触が局部的に生じている潤滑状態。

(3)流体潤滑領域

油膜によって摺動面間が完全に離れている、理想的な潤滑状態。
当社ロゴマークは、本曲線を取り入れたデザインになっています。